中級向け

n8nでClaudeを使う設定

AI Agent に Claude をつなぐノードです。APIキーの取得から設定まで一通り動かしたうえで、設定できるのに送信されない項目、UIでは選べないのに有効な値、選べるのにエラーになる組み合わせを実測しました。

動作確認: — n8n 2.36.8 / Anthropic Chat Model v1.5 / AI Agent v3.1

Anthropic Chat Model は、AI Agent に Claude をつなぐためのノードです。 単体では動かず、AI Agent の下にぶら下げて使います。

つなぐだけなら10分で終わります。ただし設定項目のいくつかは、設定しても効きません。 エラーも警告も出ないまま、送信時に捨てられます。逆に、UIの選択肢に出ないのに 実際には有効な値もありました。

実際に9回実行して、n8n が Anthropic へ送った中身を1回ずつ確認した記録です。 消費したのは合計で約$0.023でした。

APIキーを取る前に知っておくこと

Anthropic の API は前払いクレジット制です。買った分を使い切ると、 リクエストがエラーになって止まります。従量で後から請求されることはありません。

項目 実際の値
最低チャージ額 $5
消費税 10%($20なら合計$22)
有効期限 購入から1年で失効

購入画面には「クレジットは API、Claude Code、Playground の利用で消費されます」と 書かれています。ここが後述の環境変数の話につながります。

クレデンシャルを登録する

n8n の Credentials → Add credential で Anthropic を選び、APIキーを貼ります (n8n が暗号化して保存する認証情報です)。

n8nのAnthropicクレデンシャル設定画面。API Key欄が伏せ字で埋まっており、Base URLに https://api.anthropic.com、Add Custom Headerはオフ、Allowed HTTP Request Domains は All
Base URL は既定のままでよい。Save を押すと n8n が接続テストを走らせる

Base URL は変更不要です。Allowed HTTP Request Domains は HTTP Request ノードから このクレデンシャルを使うときの制限で、Chat Model には影響しません。

なお、実行データを見るとAPIキーの位置に {"lc":1,"type":"secret","id":["ANTHROPIC_API_KEY"]} と出ます。 これはLangChain が秘密情報を伏せるための内部表記で、環境変数を読んでいるという意味では ありません。キーはクレデンシャルから渡っています。

まず1回動かす

Manual Trigger → AI Agent の構成を作り、AI Agent の下に Anthropic Chat Model を ぶら下げます。プロンプトは何でもかまいません。

これだけで動きます。以降は、動いたあとに実行データを開いて何が送られたかを見る話です。 n8n は AI Agent の下のノードにも実行記録を残すので、そこに実際のリクエスト設定が入っています。

設定項目は、ノードを開いた Options の中にあります。既定では何も入っていません。 Add Option を押して1つずつ足していく形です。

n8nのAnthropic Chat Modelノードを開いた画面。CredentialにAnthropic account、ModelにClaude Sonnet 5、Options以下にMaximum Number of Tokens 4096、Thinking Mode Adaptive、Effort Low が並んでいる
Options に追加した項目だけが並ぶ。追加していない項目がどう扱われるかが、この記事の主題

この「追加していない項目がどう扱われるか」が、いちばん読みにくい部分です。

選べるモデルは12種類ある

モデル一覧は API から動的に取得されるので、一覧に最新のモデルが並びます。 2026-09-27 時点で取得できたのは12種類でした。

claude-opus-5-5       claude-fable-5-1      claude-opus-5
claude-sonnet-5       claude-fable-5        claude-opus-4-8
claude-opus-4-7       claude-sonnet-4-6     claude-opus-4-6
claude-opus-4-5-20251101
claude-haiku-4-5-20251001
claude-sonnet-4-5-20250929

IDの形式が揃っていません。 新しい9種類は claude-sonnet-5 のような素のIDですが、 4.5世代の3つだけ日付が付きます。一覧から選ぶ分には問題ありませんが、 From list を By ID に切り替えて手入力する場合は踏みます。

Max Tokens は、設定しないと16384だった

最初に見つかったのがこれです。ノード定義には既定値 4096 と書かれています。 ところが実際に送られた値は違いました。

Options の状態 実際に送られた max_tokens
Maximum Number of Tokens を追加していない 16384
追加した(欄の表示は 4096) 4096

4096 は「その項目を追加したときに欄へ入る値」であって、 「項目が無いときの動作値」ではありませんでした。

これは HTTP Requestノードの Timeout とまったく同じ構造です。 あちらも定義上は10秒で、実際に未設定で動かすと5分でした。別のノードで同じ形が再現しています。

temperature は、新しいモデルでは送られない

temperature: 0.2 を設定したまま、モデルだけを差し替えて実行しました。 変えたのはモデル1箇所だけです。

モデル 送信された temperature
Claude Haiku 4.5 0.2
Claude Sonnet 4.6 0.2
Claude Sonnet 5 キーごと消える

エラーも警告も出ません。設定した値は保存されたままです。 ノード定義にも「Claude Opus 4.7以降、Claude Sonnet 5以降ではサポートされず無視される」と 書かれており、実測と一致しました。topK と topP にも同じ注記があります。

同じ文章でもモデルによってトークン数が違う

Reply with exactly: OK という同じプロンプトの入力トークン数です。

モデル 入力トークン
Claude Haiku 4.5 / Claude Sonnet 4.6 12
Claude Sonnet 5 16(+33%)

新しい世代はトークンの数え方が変わっており、 同じ文章でもトークン数が増えます。

単価表だけ見て安いモデルに移ると、思ったほど安くなりません。 この実行を実際の単価で計算すると、Sonnet 4.6 が $0.000096、Sonnet 5 が $0.000072。 単価は33%安いのにトークンが33%増えるので、差は約25%に縮みます。 Sonnet 5 の方が安いという結論自体は変わりませんが、幅は単価表の印象より小さいです。

Effort は、モデルによって選択肢が減る

Thinking Mode を Adaptive にすると Effort が出ます。この選択肢の数がモデルで違いました。

n8nのAnthropic Chat Model設定画面。モデルがClaude Sonnet 5で、Effortのドロップダウンが開き Low / Medium / High の3つだけが並んでいる
Claude Sonnet 5 では3段階しか出ない
n8nのAnthropic Chat Model設定画面。モデルがClaude Opus 5で、Effortのドロップダウンが開き Low / Medium / High / X-High / Max の5つが並んでいる
Claude Opus 5 では X-High と Max が増えて5段階になる

n8n はモデル名に opus を含むかどうかで選択肢を切り替えています。 ところが Anthropic の API は、Sonnet 5 でも xhigh と max を受け付けます。

そこで UIを経由せずに xhigh を書き込んで実行してみました。

effort 出力トークン 実行時間 答え
Low 525 14.1秒 正解
X-High 1,731 16.4秒 正解

エラーにならず、出力が3.3倍になりました。 xhigh は Sonnet 5 でも機能しています。制限しているのは n8n のUIです。

そしてもう1つ、正直な数字も出ました。答えはどちらも同じでした。 3.3倍のコストを払って、同じ結論に着いただけです。 ただしこれは1問を1回ずつ測っただけなので、これで一般化はできません。

Opus 5 で Thinking Mode を Manual にすると落ちる

Thinking Mode には Disabled / Adaptive (Recommended) / Manual があります。 Manual は古い形式のリクエストを送ります。

モデルに Claude Opus 5、Thinking Mode に Manual を選んで実行した結果です。

400 invalid_request_error
"thinking.type.enabled" is not supported for this model.
Use "thinking.type.adaptive" and "output_config.effort" to control thinking behavior.

実際に送られていたのは thinking: { type: "enabled", budget_tokens: 1024 } でした。 新しいモデルはこの形式を受け付けません。

どちらもドロップダウンに普通に並んでいる選択肢です。 組み合わせただけで到達でき、 保存時の警告もありません。

ただしこの件は、ここまでの4件と性質が違います。静かに壊れるのではなく、はっきり落ちます。 しかもAnthropic側のメッセージが直し方まで書いています。迷うことはありません。 Adaptive を選べば解決します。

新旧のthinking設定を両方立てると、旧が消える

このノードには thinking まわりの設定が2系統あります。 古い Thinking / Thinking Budget と、新しい Thinking Mode / Effort です。

両方を有効にして送られた中身がこれです。

{
  "thinking": { "type": "adaptive" },
  "output_config": { "effort": "low" },
  "max_tokens": 4096
}

budget_tokens はどこにもありません。新しい方が勝ち、古い設定は警告なしに無効化されます。

検証にいくらかかったか

9回の実行の合計です。

モデル 実行 入力 出力
Claude Haiku 4.5 3回 36 12
Claude Sonnet 4.6 1回 12 4
Claude Sonnet 5 5回 134 2,268

合計で約$0.023(およそ3.5円)でした。 挙動を確かめるだけなら、最低額の$5で十分に足ります。

コストが伸びるのは出力トークンです。上の表でも、推論させた2回だけで 出力の97%を占めています。入力を削るより、出力を短くする方が効きます。

確認していないこと

  • Claude Fable 5.1 / Opus 5.5 は動かしていません。 一覧には出ますが未検証です
  • max effort は測っていません。 Low と X-High の2点だけです
  • xhigh の効果は1問1回ずつの測定です。 他の種類の問題では違う結果になり得ます
  • n8n のソースは読んでいません。なぜ Sonnet 5 で選択肢を絞っているのかは分かりません

次に読む

同じ「定義に書かれた既定値が実効値ではない」パターンは、 HTTP Requestノードの使い方 の Timeout の節にも書いています。 この記事の Max Tokens は、そこで一度間違えたあとに決めた確認手順で見つけたものです。

Claude Code から n8n を操作して検証する方法は Claude Code と n8n を MCP でつなぐ にまとめています。

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